萩尾望都私論その2 選択しないフロル/佐々宝砂
 
ワードを提示したときに、私はフムと一瞬納得し、しばらくたってアレッとおもった。アトムの命題は、まあ理解できる。ような気がする。しかしフロルは。フロルはなぜ選択しなくてはならないのだろう。なぜ、男か女か選ばなくちゃならないのだろう。どうしてどっちつかずでいてはいけないのだろう。『X+Y』のタクトは、最初から性を選択できない存在として生まれたから、「フロルの選択」を免れてはいる。しかし、やはり不自由な存在であることに変わりはない。いや、むしろ、タクトは、性別を自由に選択できないという点において、現実の私たちより不自由なくらいだ。現実の私たちは、本当に芯からその気になれば、(簡単なことではないけれども)
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