萩尾望都私論その7 私の赤い星3「生めないクロバ」/佐々宝砂
 
はじめにお断りしておく。この文章には、『スター・レッド』のネタバレが含まれている。結末がわかってしまったら物語を楽しめないと思う人は、ここから先を読まないように。もっとも題材が萩尾望都なのだから、結末がわかった程度のことで作品の魅力は色あせないだろう。萩尾望都の作品は再読するたび味がかわる。そして、批評とは、再読という作業なのだと私は思う。


さて。エルグが何者かはまだまだわからないので、二回ほど他の話をする。『スター・レッド』には、性をトランスする二人の火星人が登場する。一人はセイとエルグを暗殺しようとするクロバ、もう一人はセイを守ろうとして死んだシラサギの弟ヨダカ。違う目的を持つふたり
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