バラッド/石瀬琳々
さくら花、いつか出会いを繰り返し君のひとみにこぼれるバラッド
花弁に触れてひかりは遠ざかるこのひとひらに惑うこころを
新緑の夜の涙になきぬれてまどろむ夢に風は滴る
いつか君の心がほしいいつか君せつなくてただ立ち止まる風
やさしさはポケットの中に今もあるソウルメイト、君と僕とは
昼の月夜の太陽夢を見るまだみぬ「声」のその囁きを
雨のなかそっと触れ合うくちびるの降りしきるキス、海があふれる
幾筋の涙をきらり光らせて魚影ひしめく街角の雨
夢だけが僕らを渡す雨上がりさしだす指に虹がかかる日
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