忍び足の春/石瀬琳々
 
じっとしてそとくちづける桃色の
    耳たぶに来る忍び足の春


いきおいで踏んでしまえば近づける
    春も黄色の君がソックスも


風は吹く髪に小枝にからまって
    うぐいす色のハンケチを振り


水色の君の涙を壜詰す
    雨を降らせてまつげ濡らして


春は沁む器にあけるミルク色
    やわらかいひげ猫の吐息に


   グループ"薊道"
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