春ショパン/石瀬琳々
 
やるせなさ瞳は映すとおい窓
    夜は流れて青いノクターン


駆けてゆく白い足首白い影
    心に落ちる雨だれを聞く


思い出す人の涙を黙りこむ
    肩の重みを別れのゆうべ


頰よせる日々はバラードなつかしい
    指先で繰(く)るいつかの詩集


つきはなし逃げてゆく春残されて
    ひとり目覚める葬送の朝


   グループ"薊道"
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