夏至祭/石瀬琳々
 
燃えながら灰のなかから生まれる鳥
    その目にうつる火祭りの夜


名前なき舟ならばただ漂うか
    海に溺れて星があかるい


不確かさそれのみ満ちる雨のごと
    うすい胸にも染みる薔薇香(こう)


六月の火よ焼き尽くせこのこころ
    真昼は今も熱を保って


草いきれ、が絡みついてはなれない
    夕べの意味を奥処(おくか)に刻む



   グループ"薊道"
   Point(4)