冬の窓/石瀬琳々
冬の窓押し開けとおく空を見る瞳をのぞく異端者のごと
言葉いまだ伝えきれずくちびるを噛む、ただ強く血が通うよう
口寄せてささやく夢よ火と燃えてこころに満ちる雪は今しも
いたずらに Сердце моё 言葉だけが降り積もりふる冬の森にて
たましいの発芽する庭光浴びいつかどこかでめぐり逢う春
声とおく窓開け放ち飛び立てる渡り鳥より天使よりなお
赤い花あかいあかいとくちびるでころがしあそぶ恋のこころよ
ガラス片ふるわせ届くこの痛み文字に声音にくちづける朝
赤い花胸にこぼれてほろほろと痛く恋しく春を知っている
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