あした/石瀬琳々
 
あしたひらくドア、そして窓雪のごとこころに積もる言葉はありや


思い出すなつかしいうた冬の日のふいに飛び立つ鳥の似すがた


赤い実を痛みを噛んだくちびるを指でなぞれば遠い夕陽を


モネの庭春を夢見るゆくりなく花びら散って雪降るあした


やさしさを待っている森人は去り時移るとも花を抱く手よ


誰もいない窓に寄りそい見つめ合う青いサーカス、雨降る時間


まなざしで追いかけてゆく日々は海波濤は光る時の船出に


また出会う淋しさもとめ鳩は啼く空もこころもくるりまわって


その頬にながれる水は春の水口移し飲むあしたに満ちる


   グループ"薊道"
   Point(6)