小詩集【金貨のためのオルゴール】/千波 一也
 
ですか

  そんな声すら
  だれかの地図へと
  消えてしまうけれど

  ずっと、昔から




二、ショコラ猫


  みんな、猫です

  首に
  きれいな鈴を鳴らせて

  どこが町でも
  どれが月でも

  慌てず
  とまらず
  つながります


  眼のなかに
  吸いこまれていった約束など
  とうの昔のまろやかさ

  いまさら
  研がずとも良いではありませんか
 
  耳ひとつ、
  あるいは舌で
  事足りるというのに


  真っ黒な闇夜は
  いつからか留守になり、
  ふしぎな
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