小詩集【寄る辺なき歌】/千波 一也
ふしだらだから
ぼくは
しばらく
夜を歌いたくなる
どちらにも
責任がないという有り様は
見ようによっては天国で
見ようによっては
地獄です
だから
言葉はここにいて
間違えることと
間違えてはいないこととを
くり返し
くり返し
ぼくらに
明滅してみせる
しかも
それほど遠くは
ないような
浪漫を
まね
て
六、そよかぜ
いつだって
洗いたてのけものを
演じてる
そうでなければ
狂ってしまうことが
わかっているから
何億年も前から
わかっている
から
これまでに
かぜの怯えは
聞いたことが
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