小詩集【花鳥風月】/千波 一也
 





一 花の身軽さ



花弁のような裸体になって
柔らかくも冷ややかな
草むらに横たわると
この黒髪は
匂いに濡れる

花咲く野辺には
見つかりがたい陰があって
花弁はいつか
そこへと落ちつく


 (仲間だろうか
 (我が身も仲間と思われて
 (涙からがら触れたのだろうか


奇麗な肢体が欲しいというのに
言葉は甚だ無力であるから
絵画や彫塑の傍らで
ときどき笑みなど
浮かべてみせる

不快な湿度は
そうして覚えた


 (重たいものをはね除けながら
 (いつかは己も除けられて
 (望むと
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