小詩集【常夜灯】/千波 一也
 


なにを
描きましょうか
その余白には

なにを
足しましょうか
その疑問には

なにが
不満なのですか
その完成の

なにが
不自由なのですか
その独走の

なにを
飾りましょうか
その余白には

なにを
残しましょうか
その夜道には





零、 常夜灯


なにも
視なくて良いのなら
なにも視ないで
おくが良い

なにも
聞かずに済むのなら
なにも聞かずに
おくが良い

常世をわたる夜の舟には
信じた過日が乗っている
にわかには
信じがたい姿で
時々向こうを許して
みせる


 洗い流したはずの鱗粉に
 うずもれている呼吸を
 見出せ、はやく


落ちてゆくのも
のぼってゆくのも
とらわれのない
従順な途

からまる糸が
淡く通過を始めたら
夜はまっすぐ
影になる

隠れようのない
炎と水が
時間を
結ぶ















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