マリリン/ふるる
だかつて
そんなことをされたことがなかったし
初めて味わったひどく屈辱的な気分に打ちのめされた
あれは確かマリリンが十五歳の時
プールの授業で水着になって
プールサイドに立ったとき
友達がどよめいた
女の子は賞賛の言葉
男の子はじろじろと見たあと何かいやらしい言葉を
口々に言うのだ
マリリンは驚いた
今だかつて
プロポーションのよさを気にしたことも
何がいい体型で何がよくないのか
思ったことも家で言われたこともなかったから
だって家では
マリリンはマリリンであるだけで愛されて
それ以外のことは求められず褒められてもいないんだから
鏡を見たって
見慣れた
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