E minor 7th(きざし)/恋月 ぴの
 
わたしのかたちを見失いたくないから
ぬくもりも息づかいも
いずれ海辺の汐臭さに犯されてしまう
ひとり暮らしという不確かなものにえがいた
わたしのかたち
今を生きているわたしのかたち
気がつけば
あの朝の快速電車の車内で
すれ違ったおとこのひとのかたちを
記憶の指先で辿りながら懐かしんでいた
いつか拾った貝殻のように
わたしのかたちと重ね合わせてみれば
ふたり擦れ合う音色がして
恋愛とは違うことば以前の感情に
思いを巡らせているわたし自身に揺れる

   グループ"ラヴ・ジェニック"
   Point(45)