森の背中/佐々宝砂
 


あたしは自分がなにをしたいのかわからなくなった
森の背中をぶちのめしたいのか
炙りたいのか
鞭打ちたいのか
セックスしたいのか
思いつく限りのなにもかも
違うという気がしたが

土手沿いの道には街灯もなく
ほんとうに誰一人こなかったから
あたしたちはそこにレジャーシートを敷いた
疲れ果てると森は
毀れた機械のように眠ろうとした
あたしはもちろん
森を眠らせたりしなかった

でもあたしは絶対に満足しなかった
相手が森であろうと
なかろうと
あたしは満足したことがなかったのだ


でもそれは
ついさっきまでのこと

あたしが何をしたかったの
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