水色の贄/佐々宝砂
わたくしはあなたが大好きなのよ と
溜息混じりに小さな声で仰有って
お姉さまは すう と煙草をお吸いになりました
煙草の煙はいいのよ だって紫煙という位ですもの
お姉さまはどんどん痩せてゆかれます
お肌に張りが無くなって 少しお老けになりました
カリウム というものが足りないのだ と
お医者さまは仰有るのでしたが
お姉さまは一粒の薬も口になさらないのでした
お姉さまは果敢なくなるでしょう
明日か さもなければ 明後日にでも
お姉さまの御両親はさぞお嘆きになるでしょう
けれど わたくしは 嘆きませぬ
わたくしは薄青いビィズをそっと口に含みます
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