女王の片恋に関する11のソネット/佐々宝砂
るおもいが
その胸に重くむすぼれているなら
きみはしかしそれ以上は唄えない。
真冬の風雪とともに女王が入ってきて、
きみを斧でめったうちにする、
女王の耳に届くところで愛を唄うとは、
吟遊詩人よ、
いかにもきみは愚かだ。
その10
女王の寝室は白い、
壁もシーツも床も、
ベッドのとばりも白い、
白だけが女王を安堵させる。
いくたびも繰り返す殺戮、
変わりばえのしない血飛沫、
誰の体内にも同じようにある、
退屈きわまりないはらわた、
そんなものが何であろう?
血も内臓も愛撫も麻薬も、
もはや女王を喜ばせない。
厭んだ女王はナイ
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