女王の片恋に関する11のソネット/佐々宝砂
 
ナイフを選んだ。
白いシーツを染めてゆく、
きみのそれと変わらぬ女王の血の赤。


その11

しかし女王はふたたびめざめる。
女王は血に飢えて、
孤独で、
そして手ひどい不感症だ。

さて、きみはどうするおつもりか?
いくたびも殺されては生き返る、
ただそのためだけに構想された、
名もないヒーローよ、

もういちど首をはねようか、
それとも電極がいいかね、
でなけりゃ大鍋で茹でてやろうか、

煮えたぎる熱湯と油脂、
そのなかで踊っているのは、
間違いなくきみの眼鏡だよ。

  グループ"Strange Lovers"
   Point(3)