三華遠季節/木立 悟
 



花の痛み
虫の言葉
消えていく波
つぶやかれ
誰にも聞かれることなく
飛び去るもの


なまぬるい風から生まれ
梳くように 飾るように
森の細かさと弱さに寄り添う
仮の姿たち 震えたち
透きとおりながら
ただ周りだけを染めながら


よろこびに 笑いに
かすかな音の重なりに
ゆっくりとした動きで現れるもの
空から空へと落ちつづける
のびやかな光の行きつくさき


飛びたてないもの
呼んでいるもの
届かないもの
草のなかで脅えているもの
散らばる息と羽を追い
抱えきれぬほど抱え集めて
遠く近く異なる季節に
見えないはじまりの化粧をする










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