三華遠季節 ?/木立 悟
午後 風
上下
光の水
空に触れ
ひろがる波紋
遠くから
ざらざらと
どうしようもなく遠くの原から
やってくる
色のにおい
短く魔を刈るもの
湿のありかを知らせるもの
飛びたつ鴉の
合唱のようなまなざし
透きとおる黒の向こうに
異なる三つの季節どうしが
自由以上の自由さで
重なり笑う場所がある
灰に近づく蒼と
鎌のような白が
回りながら
はばたきながら
空を文字に変えてゆく
会い 離れる
その軌跡は
ひろがりのはじまりの手のひらを
憶えている
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