異形の詩歴書 高校編その1/佐々宝砂
 
を書いたことがなかったし、自信もなかった。私に小説や詩が書けるはずがない。かたくなにそう信じて、疑わなかった。実際、書こうとしたことさえなかった。私には書けない。私にはできない。小説も詩も、選ばれた特別な人だけが書く特別なもので、私はそれを享受するだけなのだと信じていた。だから私は文芸部をあきらめた。

 私は結局、天文観察を主な活動としている「物象部」という部活に入った。この部活には部室がなかった。人気もなかった。しかし、ばかでかい傘を広げて投影するちゃちなプラネタリウムと、口径30センチの反射望遠鏡を備えた小さな天文台を持っていた。


 当時の私が書物以上に愛を捧げていたもの、
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