雨(1986.8・4)/
木立 悟
ケをむさぼる日々を終わらせたい。雨を待っている。鳥たちが騒ぐ。何かの気配が脇腹にしみこんでくる。まぶたを除いたからだのすべてが重い。からだはひんやりとしている。何もかもが流れ込んでくる。自分とは別の、今まで感じたこともない自分自身が、「自分」の奥へ奥へと縮まっていくような感覚。雨を見ることができないのなら、雨を聴くことができないのなら、せめて雲と一体になりたい。
雨を待っている。
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