淡彩万華鏡/塔野夏子
 
わたしは うっとりと
   甘いまばたきを する
散りこぼれ
   ながれてゆくのは
      花びら
         花びら
春は わたしを載せて
   ゆっくりと 廻転する
      弥生も
      卯月も
         お日さまも
         お月さまも
   この世の空から
      あの世の空から
   花びら
      花びら
   散りこぼれ
      ながれてゆくよ
         あのひとの指も
         あのひとの目も
      春に載って
         ゆっくりと 廻転する
      わたしは うっとりと
         甘いまばたきを する
      わたしの天辺から
         わたしの尖端から
            花びら
               花びら
            散りこぼれ
               ながれてゆくから





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