硝子の鳥籠/
塔野夏子
空っぽの硝子の鳥籠に
早春の光が淡く虹色に差す
そうすると
わたしはうすい水色の服を着たくなる
――籠の外では生きられない
華奢ないきものだったはずなのに
でも囀りは 今でもきこえる気がする
きこえる気がする
ような気がしている
だけかもしれないけれど
やがて空っぽの鳥籠を
ほのかにつめたい花びらの群れが通過する
そうすると
わたしはしずかな銀色の雨を待ちたくなる
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グループ"春のオブジェ"
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