春の手紙/塔野夏子
季節のうつり変わりはモザイク模様
冷めてしまったアールグレイ
頭の中でずっと続くダレカとダレカの対話
窓をあけ放つにはまだ早い
けれどここから抜け出したい
何だかわからない何かに追われているような日々に
心を使い果たしてしまう前に
ふと思う
君の岸辺を散歩したい
真珠光沢のそよ風をつれて
空にはあめ玉みたいな月を浮かべてさ
心を使い果たしてしまう前に
春の色あいの便箋をひろげて
みじかい手紙を書こう
頭の中でずっと対話しているダレカとダレカに
気づかれないように
たとえ出さないままになるとしても
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