甕 を いつくしみたい この日 ああ 甕よ、こころのしづけさにうかぶ その甕 なんにもない おまへの うつろよ 甕よ、わたしの むねは 『甕よ!』と おまへを よびながら あやしくも ふるへる (「甕(かめ)」全行) 草をむしれば あたりが かるくなってくる わたしが 草をむしつてゐるだけになつてくる (「草をむしる」)