なごり雪/大覚アキラ
走り去る青い車の
テールランプながめながら
流線型の感情を抱きしめる
どうせ終わったことだから
もう悲しむことにさえ意味はない
遠雷が
湿った空気を震わせる
瞼の裏側で
すべり台の上で翻るスカートが
フラッシュバックする
何回も
何回も
川沿いの砂利道には
この冬最後の雪が降り始めていて
たぶん三時間も経てば
あの薄汚れた砂利道は
白く美しく埋め尽くされるだろう
おねがいだ
誰も足跡をつけないでくれ
どうか
おねがいだ
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