月曜日の幽霊/岡部淳太郎
 
る男の声のようにも聴こえた
女はその声を聴かなかった
夜の幼い遊びから遅く帰宅した子供によって
その声は聴かれた
その子供は男と女の双方に似ていたが
女の腹から生まれたのではなかった
その子供はすれ違った女のおくれ毛に見とれ
まだ小さい陰茎を縮ませていた
井戸からの声は
遠い海の波の音と調和して
雲が星々を隠すまでつづいた

#6

何故と問う暇もなく
子供はその声に脅えた
その時彼の陰茎の中に血が殺到し幼い屹立を促した
女はその声のことを知らないので
次の夜も 手紙を落とすために井戸にやってきた
そして女が手紙を落として立ち去るのを待ちかねていたかのように
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