無縁仏/岡部淳太郎
だあれもいない夜に私はたっています
それは夜のくらさのためではなく
そのくらさが私の影とまじりあうからでもなく
ただ私がどんなものともつながっていない
無縁のものだからなのです
とおくふかいしずかな裂け目から
ちろちろと川のながれるおとがします
それをはいけいにして私はただの
ゆうれいとして橋のたもとにまちかどの
柳の木のしたにむすうのひとりとして
なににたいしてもかかわることなく
なにももたずにたっているのです
私はけっかではなくただの
けいかとしていつも
ここにいるのです
あるいはへいたんですべりやすい
無縁のこえが死産したものとして
私はひざ
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