エスパーと雨/nm6
1.エスパー(もしくは君)
エスパーも、変わらない。ただ気づいてしまうというだけで、同じように揺れ動いて、俯して、辛うじて立ち上がる。忘れてしまおうとしては、切れ端に、文字。読めないけれどつよく見つめて、その奥の、ゆかしい側だけを切り取る。そうしてそれは灼きついて、また次の予感になっていく。そうやって、離れなくなる。
この街に雨が降るときだけ、君はエスパーになる。
ぼくは湿っぽい肌触りをからめとる目前の空気をじっと見て、
夕焼け髪を手櫛で乾かすドライヤーの空気と同じかどうか考える。
2.雨(たとえば電車)
電車の窓から眺める建物は、空に引
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