目を閉じる 7篇/nm6
1.
ぼくは風邪をひいたので目を閉じる。まぶたは、いつもよりもなめらかに溶けていく。まつげの長さを、指のはらで確認する。ぼくは人よりもまつげが長いといわれるからだ。
2.
最初はあたまの中がくらやみであることに気づき、喉の炎症のあたりをかすめて抜けて、そうして意識を下に下にとおろしていけば、皮膚がすべてのくらやみのおおもとであることを知る。
3.
だからきみは、目を閉じてばかりいてはいけない。この空の下でひそやかに過ごすとき、くらやみは夜だけで充分だ。きみは悲しいなみだを流すときに、いつもいけない。
4.
鳥が鳴くような音楽が聴こえる。音楽が
[次のページ]
前 次 グループ"自薦詩集"
編 削 Point(12)