俺と死神 −失恋の殺し方−/蒸発王
ああああああああああああ
焼け焦げる言葉達の断末魔が聞こえる
言葉に心がこもると魂が産まれてしまう
そういう言葉は生きている
彼らを殺すのであれば生半可ではいけない
焚き上げて天上に還さなければ
因果は自分にも帰ってきてしまう
じぃちゃんは火かき棒でつつきながら
そんな事をぼやいた
言葉を殺す
俺なりにショックな出来事だった
後日談をすると
ショックはこれだけじゃなかった
隠し通していたと思っていた俺の詩作ノートが
実は母さんにも読まれていた
しかも誤字を指摘されてしまった最悪だ
盗んだバイクで走り出したい気分だ
とりあえず
しばらくは恥ずかしくて家に帰れたものでもないので
じぃちゃんの家に転がり込んでいる
新学期までには家に帰れると良いと思う
じぃちゃんはというと
こりずにまた書いた俺の詩のファンになって
“言葉にはきちんと止めを刺してあげなさい”
と時々言ってくる
そして俺は
こんな死神のじぃちゃんが
かなり好きだったりする
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