死神と私 −蒼い電車−/蒸発王
た
車体も車輪も窓も全て
海のように真っ青な電車です
怜悧な蒼に殺された冬の風が怒りにいきまき
蒼い窓にこびり付いています
其の
蒼い窓の奥が見えました
誰か居るようですがぼやけて見えません
蒼い電車に出会ってはいけませんよ
死神の言葉を思い出してあわてて目をそらすと
先刻の酔っ払いが窓にへばりついて泣いています
そして
酔っ払いが泣きついた橙の列車の窓と
蒼い列車の窓が繋がり
流れてきた蒼い霧が娘の形を作ると
酔っ払いは消えていました
思わず蒼い窓の奥を見ると
酔っ払いは幸せそうに娘と並び眠っています
その時私は気が付いたのです
窓の
[次のページ]
前 次 グループ"死神と私(完結)"
編 削 Point(11)