気持ちの物語/アンテ
永遠に変わらない気持ちなんて所詮夢なのだろうか
と諦めかけた頃
本当に素晴らしい気持ちで胸がいっぱいになった
今度こそはと
胸のなかから取り出して瓶に入れて
彼女は窓辺に肘をついて
朝から晩まで瓶のなかの気持ちを眺めて過ごした
どれだけ時間がたっても気持ちは色あせず
綺麗な形を保ったままだったので
しばらくは満足な気分でいられたが
ふと気がつくと瓶の方が変色をはじめていて
形もしだいに歪んでいった
彼女は仕方なく気持ちを瓶から取り出して
代わりの入れ物がないかと家じゅうを探したが
ちょうど良いものはどこにもなく
そうする間に素晴らしい気持ちが痛みはじめたので
悩ん
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