魔王と出逢った(縁側の記憶)/イズミナツキ
 
私は縁側に座り
お茶をすすって
あの時のように
溜息を空へと放った

魔王が消えて私は思った
なんてことはない
魔王の正体は
「恋」だったのだ

私は「恋」と出逢った
わかりづらいけど
そう思い込んだ
その方が納得できるから

そもそも
こんな不思議な出来事を
言葉で表せってのが
無理な話なんだ

「また会おう」

魔王は言った
それは
私はまた恋と出逢えるということ
私はまた魔王と出逢えるということ

今更だけど私は
魔王に恋していたのかもしれない

でも気付く前に魔王は消えてしまった
でも後悔はしていない
これでさよならなんかじゃ
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