天使の破片/塔野夏子
七月の青い空には漂う硝子の雲たち
手のひらの上には天使の破片
陽射しにきらきらきらめいている
これを僕にくれたのは君だったかな
それがどうしても思いだせない
君がよく口ずさんでいた
夏の歌なら憶えているけれど
あれからいくつもの物語が
生まれたり死んだりした
いくつもの世界を
造ったり壊したりした
でも君の残した気配は
いつもどこかにたなびいてた気がする
(夏の果てに咲く花をさがしに行こう
Sha la la la la……)
そしてまた七月が来て
手のひらの上には天使の破片
破片だけど時々羽ばたこうとする
それを見ていると思いだすんだ
君の長い睫毛の瞬きを
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