晩夏の岸辺/塔野夏子
 
すこしだけ雨が降ったあとの

しずかな午さがり

横たわる身体を

ゆるい風が吹いてゆく

窓の遠くに

白くうすい月

……

目を閉じると

わたしは岸辺になる

遠い日の波が

寄せては返す

それは透明で

かなしく甘い波

……

ときにひときわ高く 寄せて 砕けて

……

……

……

やがてわたしのつまさきに

小さな虹が かかる



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