マリーノ超特急/角田寿星
 

あわくふくよかな海洋特急列車
が ぼくらを南へはこぶ
間断なく規則正しいマリンバのエンジン音
海に敷かれたレールをゆっくりと
エルスール エルスール エルスール

仲間は海に喰われた
肢体を折り曲げ手のひらをかるく握って
あろうことか眼を閉じたままほほえんでいた
知らない仲間だった
慟哭するひまもなかった
3日後にながれる車掌の声明まで予想できた

海は列車のあしもとから
単調だが効果的な攻撃をくりかえす

お花畑やどこまでもつづく草原を
夢みる年齢はとうにすぎてしまい
背中にべっとりと張りついてまぶしい

1時間の停車
フェードアウトするユニゾンシフ
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