息継ぎの音階/かぜきり
ゆきます
陰陽のすげ替わる一瞬
すべては川面に流れる墨文字のような伴奏の気配を始めました。
息苦しさの前兆でしょうか
ぜぇ はぁ。
合いの手の息継ぎをそっといたします
今夜も、浅い息継ぎを辿り繰りながら滑らかに蠢く海を泳いでいます
何時も誰かが前にいてくれていないと前方へとかき進めなくなってからというもの、
周りの人との距離の近さが、水を解さぬ接触のようにたまらないものになってしまいました。
流れを取り巻く人いきれはとてもにごっていて生ぬるく
私がその一部であることを無闇に嫌悪したくなるほどに
粘着質で。しかしてそれはやすらぎにひとしく。
そのことを苦い笑い
[次のページ]
前 次 グループ"定点観憶測「驕り」"
編 削 Point(3)