ノート(夜が来る)/木立 悟
 






蒼の岩 蒼の雨
唇に触れ すぐ放された
二本の指を巡る文字
一人を嗤う異国文字


見つめすぎて
咽が痛くなり
紅い窓を洗う滝
遅い流れ
遅いはばたき


午後よ 午後で居るがいい
星あかりの舟の双子が
交差点の脇で朽ちてゆく
口笛が
口笛が足りないまま


みどり降る径
誰もいない径
すべてが霧に歪んでゆく街
壊れた外灯に映る野の雨


けだものよ
おまえでも到かぬ声がある
痛みより痛い水がある
あえて
傘をささない夜が来る




















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