アントラー(ウルトラマン)/角田寿星
も 私たちの強固な夢はびくとも
しなかった。しかし故は知らぬが巨人は故郷の青石を携えていた。
ノアの掲げる青い石に 同胞たちの思念は母星の記憶を思い起こし
図らずも青石に躰ごと吸い寄せられアントラーは動きを止めた。
危うくも活動停止と分裂の憂き目に遭うところだった。
あれだけ頼りにし愛した青石に殺されそうになった。自分は未来永劫
青い石を手にすることは出来ないのだ 夢の中でアントラーは
淋しく笑った。
バラージの青い石
懐かしい故郷のよすがが
私たちを 故郷から遠ざける
遠い過去に発した救出信号が バラージの尖塔に掲げた青石の光が
母星に届くのはいつのことだ
[次のページ]
前 次 グループ"怪獣詩集"
編 削 Point(1)