アントラー(ウルトラマン)/角田寿星
 
届いてきたアントラーの思念。

同胞たちの遺骸であった硬い殻の外骨格。アントルはそこにわずかに
残る思念の欠片に気づいていた。それは新天地へ向かう移民たちの
熱い夢と希望だった。青石を触媒に数万の同胞たちの夢の残渣を
紡ぎ合わせた結果がアントラーなのだ とアントルであった怪獣は
熱く語った。
私たちは死んだ同胞たちに命を救われたのだった。

アントラーは砂漠に深い穴を掘り 穴の底に私たちは隠れ棲んだが
水も食糧もない状況下に ついに私たちは生命活動の停止を選択した。
死んだわけではない。仮死状態となり砂漠の穴の底で眠りつづける
ことにした。アントラーは不眠不休で私たちの安全
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   グループ"怪獣詩集"
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