六花のうた/
銀猫
春までの道のりを
手探りするきみの指で
うたは束の間、白く結晶する
凍れる河と
色褪せた山並みと
特急列車の行方を挟み
わたしの前で野分の一陣はわらう
今日も約束の書けぬ手紙なら
きんいろの落ち葉一枚に
名前を書いて届けようか
重ね着た服の
胸の奥処で
きみのうたは根雪に
未完の囁きは
けして
融けない雪になる
きみは六花の白と言い
わたしは
雲母の銀と呼ぶ
春までの
注(六花:ろっか。雪の結晶する様、雪。)
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