産声/岡部淳太郎
 
はじめて声を上げる。はじま、りの、はずか
しい過去を背負ってまで、橋を渡って喉をふ
る、ふる、ふるわせる。てえぶるの、表計算
の、[枠]の中に囚われ、ていた酸素の、また
《二》酸化炭素の、見えないたゆたい、を、
守る。ながれよ。ながれ、よ。何のりゆうで、
おまえはいままた、生まれ(落ち)ようとす
るのか。あるいは【2分の1】の、確立で、
大きな打席を迎える。やって来るのは、丸い、
輝きをおさめた星のような、見えない球、だ。
吸い込んで、吐き、だせ。[世界中]に、音
はあふれているが、このような、ふる、える
性質の空気の動きは、《二》束三文の排ガス
には、わからないだろう。
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