日毎の溶解/岡部淳太郎
 
程もおさまり、落ち着いた腐乱の中で凍える安ら
ぎを得ることになるのだが、(それも、おそろしいこと
だ。)次の朝までは、まだ長い。それぞれの世界の残骸
の中で細い眠りを過ごしながら、朝にはどんなふうに自
らを再構成しようかと、誰もが鬱々と悩む。そして日が
巡り、次の夕方には、それもまた溶けていくのだ。遠く
に赤い絶望を見ながらの、日毎の解体。それは人を今日
に留めながら明日へと送る。(それもまた、おそろしい
ことだ。)毎日、おそろしいことばかりだ。私は、こう
して日々自らを更新させながら、少しずつ異常な自己と
なっていく。今日もまた、溶けながら夕陽がやってくる。



(二〇〇七年二月)
   グループ"散文詩"
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