閃篇5 そのに/佐々宝砂
 
だ。見上げる夜空に巨大な木星。そしてあちこちに衛星…と思いかけて俺は気づく。あれは衛星だ。ここは衛星だ。でも、月はただひとつ。地球の周りをまわる。俺は遠く見えないただひとつの月に願う、アイツが明日も笑ってくれますように。


3 終わりなき旅

『果しなき流れの果に』なんて本が前世紀に存在するのだから、「終わりなき旅の終わりに」という物語が存在してもいいだろうと思いながら見る南の空にうみへび座。私たちはあそこに向かって太陽系ごと長い長い旅の途中なのだ。行先が遠すぎて終わりなんか見えない終わりなき旅に地球人全員参加してるんだぜあなたも私も、夜の窓に貼り付いてるアマガエルも。


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