エインスベルの反逆(十一)/朧月夜
その間、アイソニアの騎士とヨランからの連絡はなかった。
敵国(ヨランにとっては自国である)において活動する以上、
その行動には慎重を期さなくてはいけなかった。
それでも、エインスベルは彼らの活動を尊重し、信じていた。
今、ライランテの土地では兵士たちとドラゴンとの戦闘が、
繰り返されていた。そして、国家間でも小競り合いが行われていた。
第二次ライランテ戦争は、混沌のうちに始まったのである。
敵・味方、そこでは双方が入り乱れていた。
この二か月の間に、ライランテが崩壊してしまわなかったのは、
次なる戦争に備えて、各国が軍備を充実させていたからである。
当初千頭を数えたドラゴンたちは、今では八百頭ほどにその数を減らしていた。
各国の兵士たちは勇敢に戦った。しかし、犠牲者の数は増えるばかりだった。
そして、エインスベルは国家の表舞台に立つことを決断した。
「祭祀クーラス。汝はクールラントに仇なすものである」と。
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