母との再会(四)/朧月夜
「そうかもしれません、母上。明日は、
叔母ミーガンテの戴冠十年式典が行われる予定でした。
しかし、今は貴女が王座に返り咲く日となるのです」
「しかし、国民は受け入れるだろうか。一度は排斥された女王だ」
マリアノスの不安ももっともであっただろう。
しかし、エインスベルは母の心情をくみ取ったように言う。
「ご心配には及びません、母上。叔母ミーガンテは、
魔導士によって暗殺されたのです。アルスレイン・ユークレイナによって」
「アルスレイン・ユークレイナとは?」
「わたしが奴隷だった時代に名乗っていた偽名です。
ミーガンテが殺害されたとなれば、国民は貴女を再び女王と認めましょう」
「すべては嘘から始まったのです。今回も嘘を付き通せば宜しいのです」
「エインスベルよ、わたしに偽善者になれと言うつもりか?」
「偽善者ではありません。貴女は善なる者です」エインスベルは言った。
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