復讐が終わって(二)/朧月夜
 
エインスベルたちは、復讐からの帰路についた。
もちろん、再びユーラディアの谷を通ってである。
その道すがら、アイソニアの騎士はエインスベルに向かって言った。
「俺は、アースランテの国に亡命しようと思う」

「なぜです? わたしがいては足手まといなのですか?」
「そうではない。お前の身に危険が訪れることを危惧しているのだ」
アイソニアの騎士は、続けて言う。
「このところでは、祭司クーラスからの刺客も過激化している」

「それは、二人で駆逐すれば済むことではありませんか……」
「エインスベル、わたしはお前を愛している、
 どうしても失うわけにはいかないのだ」

「そのためにも、時として、別れなければいけないことがある」
「納得できません。あなたはクールラントの聖騎士になる方です」
「俺は一人の傭兵にすぎない」アイソニアの騎士は苦笑した。
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