復讐が終わって(三)/朧月夜
アイソニアの騎士の亡命劇の裏側には、
ハザック・アザンの暗躍があった。
ハザックは、密偵として祭司クーラスに仕えていたが、
実はアースランテの国の密偵でもあったのである。
いわゆる、二重スパイである。
しかも、ハザックはアースランテの国王である、
ハッジズ・ア・ラ・ガランデに直々に仕えていた。
ハザックのもたらす情報は、アースランテにとっても重要だった。
そして、この度のアイソニアの騎士の亡命につながったのである。
「アイソニアの騎士……、名前は何というのか」国王は問う。
「正式な名前は知られておりません。いくつもの偽名を使っているのです」
「なるほど。傭兵稼業ということか。しかし、その強さの源はどこに?」
「アイソニアの騎士には、エインスベルという愛人がいます。
おそらくは、彼女への愛が、アイソニアの騎士を強くしているのです」
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